おつかれさまです。
わからない物語
全然わからない。あたくしには全然わからなかったです。面白いしスクリーンに釘付けになるし続きは気になるけど話は全然わからない。これが正直な感想かしらね。
ただその千尋、言い換えれば若者が何かを成し遂げる時に、それが社会的正義や大義名分のあるものではなく個人的なことであったとしても、簡単に諦めてしまわないで喰らいついていく。必死になってぶら下がっていく。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
ではないけれど、飛び込んでみたときにはじめてわかることがあるっていう感じなのかなぁ。千尋とハクの関係も確か千尋が幼いころ川に落ちてそれを助けたのがハクだったよね。
珍しくダメ人間
もちろん宮崎駿監督作品をすべて観てきたわけではないんですけど印象としていつも主人公の親御さんはわりとちゃんとした方が多いと思っていたのね。
でもこの「千と千尋の神隠し」に出てくる千尋のご両親は、正直なところご都合主義のダメな大人の代表というか、その場の成り行きで考えもせずにどんどん先に進んでしまう。大人の愚かさの代弁者として千尋の両親が描かれている。千尋の手本になるような大人じゃないのよね。
親だからってまともな大人とは限らないんだ。それを認めろってことなのかしらん。まぁでも非常に現実的かつなかなか認められない事実だったりするのよね、それって。
ハクの存在
お互いの出会いを忘れてしまっているが何もわからない千尋に最初に手を差し伸べてきたのはハク。
右も左もわからない世界でも必ず誰か信用できる人がいる。まずは一番最初に自分に声をかけてきてくれた人を信用し、彼の言うとおりにすることでその世界での居場所が確保できるようになる。
処世術というと言葉は悪いけれど世の中に出たときに自分を守っていく方法、それについて教えてくれているのかしらん。
リンの存在
また口先では渋々面倒を見ているように感じられる人でも内心では自分のことを心配していてくれたりする。
いじわるそうに見える先輩も自分に一人前になってほしいが故の接し方なのでそこで挫けず、やはり信用を得るために指示にきちんと従って行動する。そうすれば結局自分の危機になった時に手助けをしてくれる人になる。
何かを成し遂げるよりも
この映画は何かを成し遂げるよりも周りの人間との関係性を描くことに重点を置いているのかな。「居場所を探す物語」のではなくて「居場所を作る物語」というか。
だから流浪をしない。何処にも行けない。ここで、ここから始まる、始めるしかない物語。地に足をつけて生きるということを確認する物語なのかなぁと思った次第でございます、はい。
物語最大の謎
よく言われていることなんだろうけど、どうして千尋は豚に変えられた両親を助けることができたのか。豚の中に両親がいるかいないか見抜くことができたのかっていう。
あれね、理由ないと思うのよね、ぶっちゃけ。いや宮崎監督のなかではちゃんとした回答はあるんだろうけどいちオーディエンスであるあたくしの感想としては
「人生の大事な場面で危ない橋を渡ることも必要なんだ」
っていう度胸試し的なw人生にはそんな瞬間もあるんだ!っていうことを描いた場面であって答えのわからない選択をしなければならないこともあるっていう、そこから人生に確実な瞬間なんてないってことを伝えたかったのかなぁなんて勝手に想像しております。
そして
鬼滅の刃が公開されるまでは、この映画が日本の歴代興行収入ランキング1位だったわけですが対極にある作品といいますか。
「千と千尋の神隠し」は語らない映画。「鬼滅の刃」は語る映画。公開のタイミング的なことはさておき作品の内容を考えたときに今は見えないことから何かを読み取ることよりもひたすら説明が必要な時代なのかなっていうのは感じました。
正義のための過剰な理論武装より正義って理屈じゃないんじゃないの?っていう時代の方が生きやすいというか窮屈ではなかったかな、と。