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あくまで夢の中のお話 その1


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おつかれさまです。

これはあくまで睡眠中に見た夢のお話よ。実際のあたくしの経験とはまったく関係ございません。

大学生活 

あたくしは三流の県立高校を卒業後、2年間受験浪人をしてなんとか都内にある二流私大の文学部に入学することができました。

 

で、大学では演劇研究会に所属したのですけれど、同期の一年生というのは基本的に、付属高校上がりの、まぁハッキリ言ってしまうとその付属高校は私立の進学校で大学よりも高校の方が受験業界では高名な学校、でございまして。

 

あたくしとはいきなり住んでいる世界が違う学生さんたちだったりしたわけです。

 

そんなわけであたくしは彼らから、からかい交じりに同期でありながら「先輩」と呼ばれ、付属高校出身の彼らからすると受験浪人自体が珍しい存在だから、本当の先輩、もちろん彼らもまたほとんどが付属高校の出身、も含めて微妙な距離感だったりしたものです。

旧家の屋敷にお呼ばれ 

まぁそれでも夏休みを迎えるころには徐々にその距離感も埋まって「本当の同期」の感覚で接してもらえるようになったのか、演劇研究会の活動の合間に彼らの自宅に遊びにいくような間柄になりました。

 

演劇研究会のメンバーの一人、仮に某としておきますが、彼の自宅は都内でもかなり奥まったところにある旧家の屋敷で、先祖代々古物商をしていたとのこと、現在は廃業したしたものの、当時の売れ残りがまだまだ処分されず屋敷内に残っているような状態でした。

 

中庭に面した某の部屋は、現代の住宅事情からはちょっと考えにくいのですが四十五畳ほどの和室であり、部屋最奥の観音扉は古物商時代に売れ残ったものが収納されている蔵に続く廊下になっておりました。

扉の向こう側 

あたくしと某は学生らしく夜通し無駄に答えのない話などをしておりましたが、急に某がいうにその観音扉を開けてみないか、というのです。

 

あたくしはそのわけを訊いてみましたがなんとも些細なことで、某は子供のころからその観音扉の向こうへは行くなと言われていたこと、昔は確かに施錠されていたが月日のせいか木製の扉の老朽化が進み、鍵が緩んでいたこと、そして下世話な話ではありますが、当時のテレビ番組で骨董品を鑑定する番組があり、なにか珍しいものがあればそれを携えてテレビに出てみたいといったものでした。

 

その扉、蔵へと続く観音扉は自室にあるのですから、いつでもできるだろうと思うのですがやはりまだ学生の身、某としては一人では子供のころからの言いつけを破ることができずわたくしが宿泊した際に二人で企みを実行してみようとのことだったのです。

 

最初は他人の家の禁忌、余計なトラブルに巻き込まれたくない一心で某を諫めていたのですが、あまりに何度も何度も熱心に某がその話をするものですから仕方がない、件の扉を開けるところまではつきあうことにいたしました。

 

確かに某の言う通り、すでに扉はガタついており二人で力任せに取り組めばなんとかなりそうな感じでした。あたくしと某は午前2時を過ぎたあたり、家人が寝静まったのを確認して作業にとりかかりました。

 

力任せに、なおかつ音をたてずにというのはなかなか難しいものでしたがなんとか月明り差し込む中、扉をゆっくりゆっくりと左右に開くことができました。

そこには 

わたくしは約束通り扉をあけるところまで、といったのですが某はせっかくだからと懐中電灯を持ってきて少し廊下を進んでみようというのです。しかしあたくしは首を縦にふりませんでした。何か気遅れさせるものがそこにあったのです。

 

あたくしが躊躇した理由というのは、扉あけてすぐの右側に黒い人影、正確にいえば人影ではなく人の形をしたもの、ただそれは仏像のような尊さを感じさせるものではなく明らかに異形の姿、昔話に出てくるような鬼というよりは赤黒く塗られた般若の姿が見えていたからなのでした。

 

ふと気がつくと赤黒い般若の像がジリジリと前へ動いているようでいつの間にか扉のこちら側、畳の縁の上まで進んでいるではありませんか。わたくしは某に話をしようとしましたが、なんと某は恐怖のあまり中庭に飛び出してこちらを見ているだけなのです。

 

なんということかよくわからないままあたくしは、その赤黒い立像、何故かあたくしの中でそれが呪いの人形というものだということを悟っていました。

 

あたくしは死ぬ気で人形を力いっぱい押し、大声を出しながら押していましたが、某はいっこうに手伝う気配もみせずただただ茫然とこちらを眺めているだけです。

 

なんとかあたくしはその呪いの人形を畳の縁の向こう側へ押しやると慌てて観音扉を閉め、中庭にいる某に「帰りますわ」と逃げるように声をかけ屋敷の勝手口から外へ出ようとするとご家族の方でしょうか、年配の女性が姿を現しました。

 

あたくしの声をききつけたのか、夜分の帰宅に不審そうな様子もみせず「お帰りですか?」とのことで、「ええ、失礼します」と会釈をしてまだ夜も明けぬうちに屋敷を後にしたのでした。

 

 

 

夢の中の話なのでオチはないわよwただこの夢は二日連続の続き物、いや続き物のような気がするだけでまったく同じ夢を連夜見ていたのかもしれないわ。。。


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