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第68回埼玉県高等学校演劇中央発表会1日目 さいたま市立浦和南高等学校演劇部「夢、酔ひ 華、香る」編


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おつかれさまです。

デカダンスの予感

この舞台、観たかったのよね。浦和南高校演劇部さんの舞台「夢、酔ひ 華、香る」はね、幕が上がった途端に妖しい香りが漂ってくるというのかしらね。舞台セット一面がすべてお華で埋め尽くされているのね。それが出来合いの造花ではなくてすべて手作りと思われる紙で作られたお華なんです。で、それが文化祭の教室の飾りつけみたいにチープな感じにならないのはやはり演出を担当されている生徒さんのセンス故のことなのでしょう。そして舞台の幕が開き、会場に漂うは甘く危険な香り。いやもっと言ってしまうと香りというより不吉な予感というのかしらね。この耽美的な世界観の舞台セットからはこれから起きるであろう不可解な出来事の予感しかないわけよね。

与野本町に出現した華の迷宮

それもすべて作り手の狙い通り、オーディエンスであるあたくしたちは一瞬にして与野本町に出現した、この世の何処か、それは幻影か現実かわからない世界に連れていかれてしまうのでございます。主人公の少女が舞台に現れる。衣装は妖しい舞台セットに負けない鮮血をイメージさせる赤いドレス。この色彩感覚が高校演劇発表会には明らかに異端、不健康、そしてデカダンス。舞台はこのお嬢様とメイド、お嬢様の姉、そして突然の来訪者である男の四人で綴られていく。

実は長編のダイジェスト?

姉妹、病気、投薬、火事、親子、山荘、人形といったキーワードが連続して繰り出されるものの多くは語られずに現在と過去の一シーンをフラッシュバックさせるような、舞台を観る側が試されている感じというのかしらね。だからこれは作り手の生徒さんのなかにはとてつもない詳細な設定の長大な物語があるのだけれど舞台としては尺の都合もあって再編集されたダイジェスト版として上演されているんじゃないのかしらと思うのよね。そう考えると60分という上演時間に詰め込みすぎと思われる情報量も逆にアリという感じよね。

スカッとしない青春物語だってあるはずよね

父親の生死を巡る姉妹の溝は夢と現実の狭間の出来事でありお互いを想いあう気持ちも儚く消えていく。自らの治療を諦め妹のために非合法な手段で薬を入手するためにに働く姉。姉とそっくりな人形を作り生活する妹。姉妹の現実を知りつつ虚構の世界に加担するメイド。死に場所を求め彷徨いながら人形に理想の女性を見出し生きる理由を得ようと足掻く往生際の悪い男。この歪な関係から「青春」って言葉からは程遠い世界を感じてしまうわけだけれどもねぇ。やっぱり物語には「救い」ってのが必要なわけで、作り手側もそれは必ず仕込んでいると思うのよね、実際には。まぁそれに気がつくかどうか。ただそれこそが舞台を観る側のオーディエンスが試されている部分なわけです、とくに今回のような舞台についてはね。

一人では解けない愛のパズルを抱いて

作り手の生徒さんからすると「大人はわかってねぇなぁ。。。」という解釈もこのブログではアリってことにしていただきたい眠れない午前2時でございます。しかしながらこの舞台の根底にあるのは「愛だろ、愛。」ってことだってのはわかりますよ、あたくしでも。この物語の「救い」ってそこよね。

 

てか違ってたらゴメンナサイねw


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